コラム
働き方改革推進支援助成金の労働時間短縮・年休促進支援コースは、労働時間を短くする取り組みや、年次有給休暇を取得しやすくする取り組みを後押しするための制度です。しかし実際に手を付けようとすると、何から始めればよいのか分からないというご相談を数多くいただきます。
この記事では、金額や対象要件そのものではなく、労働時間の短縮と年休の取得促進という取り組みの中身をどのように進めるのかという視点で解説いたします。助成金の金額や要件は年度ごとに見直されますので、具体的な条件については必ず最新の公募要領でご確認ください。

取り組みの入口でつまずく事業者様に共通しているのは、自社の労働時間と年次有給休暇の実態を数字で説明できないという点です。働き方改革推進支援助成金を活用する第一歩は、現状の労働時間や業務フローを可視化することにあります。改善の対象が見えていない状態で仕組みだけを作っても、職場の実態は変わりません。
直近半年から一年分の記録をもとに、月ごとの総労働時間と時間外労働の時間数を並べてみてください。平均だけを見ると実態が見えにくいため、最も長い月と最も短い月の差にも目を向けます。繁忙の波がどこにあるのかが分かると、手を入れるべき時期がはっきりします。
年休については、事業所全体の取得率だけでなく、従業員ごとの取得日数を並べて確認することをおすすめします。全体の数字が悪くない場合でも、特定の担当者だけがほとんど休めていないという状況は珍しくありません。この偏りは、あとで述べる属人化の問題と直結しています。
同じ会社であっても、内勤と現場、営業と管理部門とでは時間の使われ方がまったく異なります。部署や職種ごとに数字を分けて見ることで、全社一律の施策では解決しない課題が浮かび上がります。当事務所がご相談をお受けする際も、まずはこの切り分けからご一緒に進めております。
実態の把握には正確な記録が欠かせません。建設業をはじめとして、直行直帰や出張の多い業種では、労働時間の把握そのものが最初の関門になります。記録が曖昧なままでは、取り組みの前後で何がどれだけ変わったのかを示すことができません。
部署ごとに紙の出勤簿と勤怠システムが混在しているケースでは、集計の段階で手間が生じます。方法をそろえるだけでも、月次の確認作業は大きく軽くなります。導入する仕組みを選ぶ際は、現場の従業員が無理なく入力を続けられるかどうかという観点を優先してください。
始業前の準備や終業後の片付けが記録に含まれていない、休憩が取れていないのに一律で控除されているといったずれは、後から大きな問題になります。ずれに気づいた時点で運用を改めることが、労務リスクの低減にもつながります。記録は助成金のためではなく、日々の労務管理のために整えるものです。
| 確認する項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 始業と終業の時刻 | 自己申告のみになっていないか、客観的な記録と照らせるか |
| 休憩時間 | 実際に取得できているか、一律控除になっていないか |
| 直行直帰や出張 | 移動と作業の区分が現場で共有されているか |
| 年次有給休暇 | 付与日数と取得日数を個人ごとに管理できているか |
| 時間外労働 | 事前の申請と事後の確認の手順が定まっているか |
年休の取得促進は、制度の有無ではなく職場の空気に左右される部分が大きい分野です。制度としては存在していても、実際には申し出にくいという状態が続いている事業所は少なくありません。仕組みと運用の両面から手を入れる必要があります。
担当者が休むと業務が止まってしまう、繁忙期が読めず予定を立てられない、上司が取得していないため申し出にくいなど、理由はさまざまです。理由を特定しないまま取得を呼びかけても、数字はなかなか動きません。従業員へのヒアリングを通じて、本当の障害を先に見極めてください。
あらかじめ日を決めて年休を取得してもらう計画的付与の仕組みを採り入れる場合には、労使協定の締結が求められます。協定を結ぶ際は、対象となる範囲や日数の考え方を明確にしておくことが大切です。手続きを飛ばして運用だけを先行させると、後の確認で不備を指摘される原因になります。
一日単位では休みを取りにくい職場であっても、半日や時間単位であれば利用しやすくなる場合があります。ただし時間単位の年休を導入するには、就業規則への定めと労使協定の締結が前提となります。運用を始める前に、社内の規定がその内容に対応しているかを必ずご確認ください。

労働時間の短縮も年休の取得促進も、最終的には社内のルールとして文書に落とし込む必要があります。原則として、十名以上の事業所には就業規則の作成義務がありますが、それ以下の規模であっても助成金申請には規則の整備が必要です。規模が小さいから関係ないという話にはなりません。
長く手を入れていない就業規則では、記載されている始業時刻や休憩の取り方が現在の運用と食い違っていることがあります。取り組みの内容を反映させる作業は、この食い違いを解消する良い機会でもあります。多くの助成金では就業規則の提出が求められますが、現時点で作成していなくても、アサンテ社会保険労務士事務所が申請と並行して最適な内容で新規作成いたします。
規定を改めたあとは、その内容を働く方々へ確実に伝えることが求められます。書き換えただけで説明の機会を設けていないと、現場の運用は以前のままになりがちです。周知の方法と日付を記録として残しておくと、後の確認にも役立ちます。
文書の上では立派な制度が整っていても、実際には使われていないという状態は避けなければなりません。実態と規定の整合性は厳しく問われる部分ですので、形式より運用という意識を持って進めることが結果的に近道になります。
時間を短くするという目標だけを掲げても、現場では何をすればよいのか伝わりません。労働時間削減や勤務間インターバル制度の導入、年次有給休暇の取得促進などを支援する働き方改革推進支援助成金は、単なる助成制度ではなく経営改革の起点となります。取り組みの中身を具体的な行動まで分解することが必要です。
残業を減らすという号令だけでは、持ち帰りや記録漏れを生むだけに終わってしまいます。まずは今ある業務を並べ、やめられるもの、頻度を下げられるもの、担当を分けられるものに仕分けしてください。業務量が変わらないまま時間だけを削る指示は、現場の負担を増やします。
特定の担当者しか対応できない業務が多い職場では、年休の取得が構造的に難しくなります。手順を文書に残す、複数名が対応できるようにするといった取り組みは、労働時間の平準化と休暇取得の両方に効いてきます。多能工化や教育訓練体制の整備を進めることで、労働時間削減と生産性向上を同時に実現できます。
機器やソフトを入れること自体が目的になってしまうと、費用をかけたのに時間が減らないという結果になりかねません。導入を検討する際は、どの作業のどれだけの時間が減るのかを事前に言葉にしておいてください。この整理は、取り組みの効果を後から説明する場面でもそのまま使えます。
働き方改革推進支援助成金は労働時間削減や生産性向上を目的とした制度ですが、その本質は企業体質の転換を促す点にあります。制度を使うこと自体が目的化すると、取り組みが職場に根付かないまま終わってしまいます。順序としては、自社に必要な改善が先で、助成金はその後押しという位置づけです。
対象になりそうだからという理由だけで取り組みを決めると、現場が必要としていない変更が持ち込まれます。結果として運用が続かず、翌年には元に戻っていたという事例も見受けられます。自社の課題から出発した取り組みであれば、制度の有無にかかわらず価値が残ります。
助成の額や対象となる取り組みの範囲、申請の受付期間は年度によって見直されます。前年の情報をそのまま前提にして計画を立てると、思わぬ食い違いが生じます。金額や補助の割合、締切といった条件は、必ず最新の公募要領でご確認ください。
申請すれば必ず受け取れるという性質のものではありません。助成金は、要件を一つでも満たさない場合に不支給となる点が最大のハードルです。受給を前提に資金計画を組むのではなく、支給されない可能性も織り込んで判断することをおすすめいたします。
助成金には、取り組みを始める前に手続きを済ませておく必要があるものが少なくありません。先に設備を入れてしまった、先に規定を変えてしまったという理由で対象外になるケースは、実務の現場でしばしば起こります。順序の確認は、動き出す前に済ませておきたい作業です。
計画を届け出てから取り組みに着手するという流れが定められている制度では、この順序を誤ると後から取り返しがつきません。何をもって着手とみなすのかという判断も、制度ごとに考え方が異なります。迷った段階で確認しておけば、費用も時間も無駄になりません。
見積書の日付、発注の日付、納品や支払いの日付は、後から書類で確認される項目です。社内で決裁が下りた時点と実際に発注した時点がずれている場合には、その経緯が分かる資料を残しておいてください。書類の整合性は、あとから作ろうとしても間に合いません。
助成金の種類によりますが、事前の計画提出から実際の受給までには半年から一年以上のスパンを要するものが多いため、早めの準備と計画的なスケジュール管理が不可欠です。取り組みにかかる費用はいったん自社で負担する前提となりますので、資金繰りへの影響もあわせてご検討ください。
労働時間の短縮も年休の取得促進も、仕組みを整えた時点が出発点にすぎません。取り組みが職場に根付くかどうかは、その後の運用にかかっています。働き方改革推進支援助成金を活用し、労働時間管理の適正化や休暇取得促進を進めることで、従業員満足度を高めることができます。
担当者の努力だけで成り立つ運用は、その方が異動すれば止まってしまいます。誰が何をいつ行うのかを手順として定め、日常の業務の流れに組み込んでください。無理のない粒度で決めることが、結果として長続きにつながります。
月に一度、あるいは四半期に一度でも構いませんので、労働時間と年休の取得状況を同じ形式で確認する機会を設けます。数字の推移を並べていくと、効いている取り組みとそうでない取り組みの区別がついてきます。振り返りの場は、経営層と現場の認識をそろえる機会にもなります。
実施した内容とその日付、参加した人数、変化した数値を簡潔に残しておくと、後から説明を求められた際にそのまま使えます。記録がないために、実際には行っていた取り組みを証明できないという事態は避けたいところです。日々の記録が、そのまま取り組みの裏付けになります。

当事務所は東京都渋谷区に事務所を構え、助成金の活用と労務管理を一体でご支援しております。働き方改革推進支援助成金の申請と同時に、就業規則の整備や労働時間管理の適正化を進めることで、持続可能な組織基盤を構築します。制度の手続きだけを切り離して請け負うのではなく、取り組みそのものの設計からご一緒するという姿勢を大切にしています。
実質的な労使対話を促進するためのアドバイスを行い、適切な労務管理体制の整備や、必要な書類と記録の準備をサポートいたします。就業規則をお持ちでない事業所様についても、申請と並行して内容を新規に作成することが可能です。あわせて業務改善助成金・働き方改革推進支援助成金のページもご覧ください。
労働関係の助成金申請や労務管理については社会保険労務士が担いますが、受給した助成金の税務上の取り扱いは税理士、契約や紛争に関する法律判断は弁護士の領域となります。当事務所では必要に応じて各分野の専門家と連携し、ご相談の内容に応じた窓口をご案内しております。判断に迷われる場合も、まずはご状況をお聞かせください。
現状を分析した上で、まずはヒアリングを行い、最適なプランを無料で診断させていただきます。無理な勧誘等は一切ございませんので、安心してご相談ください。無料相談は完全予約制でオンライン面談にも対応しているため、忙しい経営者の方でも負担なくご利用いただけます。お問い合わせフォームは二十四時間・年中無休で受付中です。
A 紙の記録であっても、実態が正確に残されていれば出発点にすることは可能です。ただし集計に時間がかかると振り返りの頻度が落ちますので、進めながら記録方法の見直しをご検討いただくとよいでしょう。まずは今ある記録を並べて確認するところからお始めください。
A 原則として十名以上の事業所には就業規則の作成義務がありますが、それ以下の規模であっても助成金申請には規則の整備が必要です。年休の取り扱いや労働時間の定めを文書にしておくことは、日々の労務管理の面でも有効に働きます。作成をこれから始める場合も、申請と並行して進めることが可能です。
A 助成の額や割合は年度ごとに見直されるため、この記事では具体的な金額を申し上げておりません。最新の公募要領で条件をご確認いただくか、当事務所の無料相談でご状況をお聞かせください。金額だけを前提に計画を立てることは、おすすめしておりません。
A 審査があるため、必ず受給できるとは限りません。要件を一つでも満たさない場合には不支給となりますので、取り組みの内容と書類の整合性を事前に確認しておくことが重要です。受給を前提とせずに資金計画を組むことをおすすめいたします。
A 制度によっては、着手する前に計画の提出などの手続きが求められる場合があります。先に発注や導入を済ませてしまうと対象外となるおそれがありますので、動き出す前にご確認ください。判断に迷う段階でご相談いただければ、順序の整理からお手伝いいたします。
A 計画的付与の仕組みを採り入れる場合には、労使協定の締結が前提となります。対象とする範囲や日数の考え方をあらかじめ整理し、就業規則の記載とも矛盾がない状態にしておく必要があります。手続きの順序についても事前にご確認ください。
A 税務上の取り扱いについては税理士の業務範囲となりますので、当事務所からは具体的な処理方法をお答えしておりません。顧問の税理士がいらっしゃらない場合には、連携先をご案内することが可能です。労務に関する部分は当事務所が責任をもって対応いたします。
労働時間を短くする取り組みも、年次有給休暇を取りやすくする取り組みも、自社の実態を数字で把握するところから始まります。記録の方法をそろえ、規定と運用の食い違いを解消しておけば、その後の改善は進めやすくなります。就業規則や労使協定の整備は、規模にかかわらず土台となる作業です。
制度の金額や要件は年度ごとに変わり、審査の結果によっては不支給となることもあります。だからこそ、助成金の有無に左右されない自社に必要な改善を先に定めることが大切です。着手前の手続きが必要になる場合もありますので、動き出す前にご相談いただければ順序の整理からお手伝いいたします。
アサンテ社会保険労務士事務所では無料相談を承っています。記事の内容でご不明な点があれば、お気軽にご相談ください。
お電話:03-6300-4652 公式サイト:asante-sharoshi.com


建設業で働く技能者の資格や社会保険の加入状況、現場での就業履歴を業界全体で蓄積する建設キャリアアップシステム(CCUS)は、いまや多くの現場で欠かせない仕組みとなっています。しかし「登録の手続きが複雑で、費用の全体像が見…

東京都を初め全国で事業を展開する企業にとって、事業拡大の鍵となるのは人材の確保と育成、そして安定した労務管理です。近年は人材不足が深刻化する中で、単に採用を行うだけでなく、既存社員の能力を高め、長く働いてもらう仕組みづく…

助成金の申請を専門家へ依頼する際、多くの経営者様が最初に気になるのが「成功報酬の相場はいくらなのか」という点です。料金体系が分かりにくいと、依頼をためらってしまう方も少なくありません。本記事では、助成金の成功報酬の相場を…
お問い合わせフォームは24時間・年中無休で受付中!
FAQ
company