人材開発支援助成金特別育成訓練コース(有期実習型訓練)

人材開発支援助成金特別育成訓練コース(有期実習型訓練)

人材開発支援助成金とは?

正式名称と目的
従業員のキャリア形成を促進するための助成金です。目的は有期契約・短時間・派遣の労働者を除き、雇用される側(労働者)のキャリアを形成して企業の人材育成に役立てるため、使える内容としてはキャリア形成のための訓練費用や資金にあてることができます。

◆特定訓練コース
労働生産性の向上に直結する訓練が新設されました。
◆一般訓練コース
特定訓練コースに含まれるもの以外はすべて統合されました。
◆キャリア形成支援制度導入コース
教育訓練・職業能力評価制度は廃止となりました。
◆職業能力検定制度導入コース
業界検定を除く教育訓練制度等は廃止となりました。
また、大きな変更点として労働生産性が上がっている企業に対して、助成率をアップするということも見逃せないポイントです。厚生労働省・都道府県労働局の発表によると、申請するには直近の会計年度の生産性が下記の規定を満たしていることが条件となります。

生産性の向上
該当年度の3年前に比べて「6%以上」伸びていること、またその3年度前に比べて「1%以上(6%未満)」伸びていること。後者の場合、金融機関から一定の事業性評価を得ていることが条件となります。

生産性の計算方法
生産性=付加価値(*)÷雇用保険法の第4条で規定されている雇用保険被保険者数となります。

*付加価値とは企業の場合、(営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産貸借料+租税公課)です。詳細については、厚生労働省のHPに掲載されている「生産性要件算定シート」を確認しましょう。

受給対象や助成金額・申請について

人材開発支援助成金の概要や変更点がわかったところで、実際に助成を受けられる条件や申請方法、金額などについて紹介していきます。

受給対象について
助成金を受給するためには各助成金の要件を満たし、下記の要件についてもクリアしている必要があります。例えば、雇用保険適用事業所の事業主で支給審査に協力する事業所であること、申請期間内に手続きを行うこと、不正受給の実績がないことなどがあります。
ほかには、業種によって異なりますが、資本出資額または労働者数での受給共通要件も存在するため、詳しくはハローワークで説明を受けることをおすすめします。

助成金額について
受給できる助成項目としては特定訓練コース、一般訓練コースは賃金助成・経費助成・実施助成の3つ、キャリア形成支援、職業能力検定制度導入コースは制度導入助成が該当します。
特定訓練コースではOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング=職業内訓練)の場合に実施助成、Off-JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング=職業外訓練)の場合に賃金・経費助成となります。
一般訓練コースは、職業外訓練だけで賃金と経費助成が該当。それぞれのコースに該当する助成項目に対し、生産性要件を満たす場合とそうでない場合に分かれて設定されています。

申請・受給の方法
自社で助成を受けたいコースが決まったら、導入・適用計画届を提出する必要があります。提出前に最低適用人数に達しているかを確認してください。最低適応人数は、雇用する被保険者数によって異なります。
確認ができたら、制度適用日の翌日から起算して6カ月経過した日から2カ月以内に支給申請書を管轄の労働局かハローワークに提出してください。支給対象が重複している場合は受けることができないため、注意が必要ですが、複数の申請を一度に行うことも可能です。
申請が承認されれば、事業主が指定した口座に労働局から助成金が振り込まれる仕組みです。

具体的にどう活用できるのか
次に企業例を挙げて具体的にどのように活用できるのかを、紹介していきます。自社の場合はどのように活かせるのかイメージしてみてください。

製造業を行う中小企業の場合(生産性要件を満たしている場合)
例えば、製造業を営む中小企業で部品加工を行う人材を育成するために教育訓練機関を設立する場合で考えます。
訓練時間を2,000時間、助成金コースを特定訓練コース(特定分野認定実習併用職業訓練)とおくと、
助成率や額はOff-JTの経費助成が75%で上限50万円、賃金助成が1時間あたり960円で上限1,200時間となります。
OJTの場合は1時間あたり840円が助成されるという結果になります。
つまり、Off-JTの教育訓練機関を設立するのに70万円かかったとしても、52.5万円が助成となりますので、
出費を17.5万円に抑えることができます。
仮に社員の働きぶりを時給換算して1,000円とおいて2,000時間の訓練を行った場合でも、
賃金助成の上限1,200時間分が助成されます。
研修させることで200万円分の費用がかかっていることになりますが、115.52万円の助成が出るため、
実質負担を約85万円に抑えることができるのです。

システム開発を営む企業の場合(生産性要件を満たさない、中小企業以外の場合)
企業の未来を担う若年層に対して、営業スキルを磨いてもらうために、特定訓練コースの熟練技能育成・承継訓練を選んだ場合で考えます。
Off-JTで経費助成が45%、賃金助成が760円(毎時)です。受講料が10万円の場合、45%が助成となり、45,000円が経費助成。
訓練時間が10時間の場合、賃金助成は7,600円が1人あたりに支給される金額となります。
このような助成金を活用して従業員を育成していけば、10年後20年後の企業の未来をつくることができるのです。
日本経済の活性化にとっても重要な制度といえます。

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